ラスト2周で逆転のアストンマーチン。「重要なのは相手にミスをさせること」

 6月17~18日にかけて行われた伝統の一戦、第85回ル・マン24時間耐久レースで、LM-GTEプロクラス優勝を飾ったアストンマーチン・レーシングのジョナサン・アダムは、勝つためには前を走るコルベットにミスをさせなければならなかったと語った。

 フェラーリ、ポルシェ、フォード、シボレー、アストンマーチンの5メーカーが毎年激戦を繰り広げるLM-GTEクラスは、2017年のル・マンでもスタートから同一周回のバトルがレース終盤まで続いた。

 スタートから23時間、クラストップを走る63号車コルベットC7.Rと2番手の97号車アストンマーチン・バンテージが最後のピット作業を同時に行うと、2台は僅差でピットアウトしていく。
 
 63号車コルベットを駆るジョーダン・テイラーと97号車アストンマーチンのアダムは約1時間にわたって1秒以内の攻防を展開。そんななか、チェッカーまで10分を切ったタイミングでアダムが勝負に出た。

 アダムは、アルナージュ・コーナーでテイラーのイン側に飛び込み一度は前に出るが、ラインがやや膨らんだことで加速が鈍り、ふたたびテイラーの63号車コルベットにリードを許す。これで勝負は決まったかに見えたが、その翌周、テイラーが第2シケインでタイヤをロックさせ、グラベル上をショートカットしてしまう。

 コースアウトによりペースが鈍った63号車コルベットに対し、再度接近したアダムの97号車アストンマーチンは、最終フォードシケインの立ち上がりでこれをかわすと、そのままファイナルラップに突入。ラスト1周を危なげなくまとめ、LM-GTEプロクラス優勝を飾った。


LM-GTEプラスを制したダニエル・セラ、ジョナサン・アダム、ダレン・ターナー

 レース最終盤に2番手に後退した63号車コルベットは、その後、左フロントタイヤがパンクしペースダウン。3番手を走っていたハリー・ティンクネルの67号車フォードGTにもかわされ、最終的に3位でチェッカーを受けた。

 多くのモータースポーツファンを沸かせるバトルを披露したアダムは「最後のピットストップで、『いいかい、ここはル・マンだ。もし君が勝ちたいのならば、自らの手で掴み取らなければならない』とチームから檄を飛ばされた」と語った。

「ジョーダン(・テイラー)はインディアナポリスとアルナージュで苦労しているように見えたんだ。だから僕は彼のインに飛び込んだ。少し接触しながらコーナーを立ち上がったが、抜き切ることはできず、ふたたびギャップが広がってしまった」

「しかし、彼はユノディエールの第2シケインで大きくタイヤをロックさせた。その後、彼を交わした最終シケインでは、コルベットの左フロントタイヤが壊れ始めているように見えたから、無理には仕掛けずコーナー出口まで待ってオーバーテイクしたんだ」

「僕たちは、コルベットと極めて近いレベルでマッチレースをしていたと思う。そうした状況で重要なのは、相手にプレッシャーを掛け続けて、ミスをさせることだ。そして、ジョーダンはミスを犯した」

ファイナルラップで左フロントタイヤがパンクした63号車コルベット。フロントフェンダーもダメージを受けた
ファイナルラップで左フロントタイヤがパンクした63号車コルベット。フロントフェンダーもダメージを受けた

 バトルに敗れたテイラーは「高速セクションでの突然のロックアップには驚いた」とコメント。

「タイヤのロックは、まったく予期していなかった。通常、ロックアップはブレーキの第2段階で起こるが、今回はブレーキに触れてすぐにロックしてしまったんだ」

「97号車アストンマーチンとのギャップを維持するため、そしてマシンのスピードが落ちきらなかったので、とっさにシケインを通過せずグラベルの上を通過することにした」

「しかし、その時点で左フロントタイヤには大きなフラットスポットができていたんだ。さらにこの時、別のタイヤもダメージを受けた思う。あれは単なる不運が重なった出来事だったんだ」