LMP1の2020年からの新レギュレーション発表。プラグインハイブリッド技術を採用

 ル・マン24時間/WEC世界耐久選手権を運営するACOフランス西部自動車クラブは、6月16日にサルト・サーキットで行われたプレスカンファレンスで、2020年からのLMP1ハイブリッドレギュレーションについて発表した。

 現在LMP1のハイブリッド車両については、トヨタTS050ハイブリッドとポルシェ919ハイブリッドの2台のみが参戦しているが、この日11時から行われたプレスカンファレンスでは、トヨタ、ポルシェの両マニュファクチャラーの首脳陣が揃うなか、2020年からのLMP1について発表された。

 大きなポイントは、下記の5点だ。

・市販車に導入される技術の採用
・コストキャップ
・技術の多様性
・パフォーマンスの均衡化
・観客、スポンサー、メディアに向けたトップレベルのパフォーマンスの維持

 これらのポイントへの回答として、プラグインハイブリッドの採用等、さまざまな規定が採用された。主な項目は下記のとおりだ。

・ゼロ・エミッションと急速充電
 市販車の技術のレースへの導入として、プラグインハイブリッドが導入される。車両には、現在給油が行われるように、急速充電が導入される。その結果、毎回ピットストップの後、1kmはすべて電気で走行しなければならなくなる。プレスカンファレンスでは、ポルシェ・カイエン、トヨタ・プリウスPHVといったプラグインハイブリッド車が市販車の技術の例として紹介された。また、カンファレンスでは将来のゼロ・エミッションを目指すという旨も語られている。

・安全性の向上
 ドライバーの安全性を高めるため、ヘルメット周辺、コクピット、足下のスペースの拡大、足下の保護フォームの設置、モノコック、クラッシャブルストラクチャーのクラッシュテスト、ドライバーの視界向上のためのコクピットの改善等が義務づけられる。プレスカンファレンスでは、コクピット全体が今までより大きくなるであろうと語られた。

・ふたつのエネルギー回生システムは、これまで同様8MJまで

・アクティブエアロダイナミクスの採用
 効率アップのため、前後の可動ウイングを採用するほか、コスト削減のために空力の開発を制限する。

・バイオフューエルの受け入れ
 サプライヤーの戦略とのコラボレーションによる、さまざまな種類の燃料の受け入れを行う。

・新しいエネルギーの紹介
 同時に、後年ル・マンにおいて紹介するべく、水素のような新しいエネルギーの調査を続ける。


プレスカンファレンスに出席したトヨタ、ポルシェの首脳陣

 また、耐久レースにおける技術革新とレベルを保ちながら、コストキャップに向けた施策が発表された。FIAとACOは、この改革が新たなマニュファクチャラーがLMP1に参戦することを望むとしている。

・ボディワークの制限
 現在2種類のボディワークが認められているが、2020年からは開発コスト削減のため、1種類のボディワークに制限される。

・テストの制限
 テスト日数が制限される。プライベートテストは非常に少ない日数となり、その他はシリーズにより開催されるテストに限られる。

・風洞テストの時間制限
 風洞におけるテストの制限が、これまでの年間800時間から600時間に制限される。ACOによれば、これは大きなコスト削減に繋がるとし、今後CFD等のシミュレーションツールの開発に使われるとしている。

・開発の制限
 マニュファクチャラーが毎年車両を開発するのを避け、シャシー、エンジン、ハイブリッドシステム、ボディワークなどのうち、2シーズンもたせられるものを選択できるようにしなければならない。

・空力規定
 アンダーボディに関する開発は大幅に制限される。大きな投資に繋がっているエリアの開発機会を減らすことで、コストカットに繋げる一方、自由に開発できるエリアを残し、技術革新を可能にさせておく。

・ブレーキ冷却に関する規則
 現在大きなコストがかかっているブレーキクーリングに関しては、ACOとFIAの狙いに繋がっておらず、市販車の開発に繋がっていない。

・レーススタッフの制限
 現在、WEC世界耐久選手権については1チームにつき65名のスタッフに制限されているが、これが50名に制限される。ただし、ル・マン24時間に関しては制限されない。

・ユニットの制限
 パワーユニット(バッテリー、ICE)の基数制限が設けられるほか、ERSは年間5基から4基に制限される。また、ギアボックスは2基に制限される。

 また、大きなコストカットに向け、2020年のレギュレーションは最低4年間変更されることはない。