【津川哲夫の2019私的新車チェック:メルセデス】個性的&複雑なエアロは今年も継続。課題はやはり持病のブレーキ熱か

 真打ちメルセデスW10の登場。予想どおりこれまでの路線を踏襲したロングホイールベース・フラットレーキフロア型コンセプトに変更はない。

 そのなかでも、W09と決定的に違うのがサイドポッドの処理だ。もちろん新規則でフロア上面のエアロが今まで以上に重要性を増したことで、W10のサイドポッドは思い切り狭く車体中心部へ寄せられた。

 この処理は今年、フロントタイヤに当たる空気流のサイドへのブローが難しくなったことでマシン中間部への空気流の確保が難しくなったことを受けたためで、その分、サイドポッドの小型化は避けられないというわけだ。

 W10のリヤ上部はエントリーダクトから後方へはスムースな緩い曲率で、そこから平坦でパワーユニット/エンジンぎりぎりに寄せられたタイトなエンジンカバーへと続いている。エントリーダクト下部から後方へ続くアンダーカットはこれまでのメルセデスの個性的な部分であり、W10でも例外ではなかった。

 もちろん大型化したリヤウイングへの配慮も大きい。それにしてもフロアフロント、バージボード部の複雑さは相変わらずで、フロントタイヤ周りの空気流処理への苦労がうかがえる。

 また、スラットとボーダウイングのマウントステー、そして2本のステーをカナードとスピリッターにあてたミラーステーの処理も面白い。

 フロントサスペンションアッパーアームはアップライトにハイマウントされているのは昨年どおり。フロントウイングフラップは隙間の大きなフラップを使い、5番目のトップエレメントを除き、アタック角が少ないのがいかにもメルセデスエアロだ。ノーズ下のイカヒレスクープも継続搭載し、床下エアロへの典型的な処理が見える。

 盤石のメルセデス陣営だが、それでも今シーズンのエアロ規則でもっとも影響を受けそうなのはダウンフォースやドラッグではなく、ブレーキの温度制御かもしれない。アクスルブローの禁止はホイール冷却スペーサーの搭載にも影響するはずで、持病のブレーキ熱をどのように処理したか興味深いところだ。


メルセデス W10 EQ Power+