ホンダ期待の若手、松下と福住、決勝不発もスーパーフォーミュラ開幕戦で見せた大きな”インパクト”

 スーパーフォーミュラ開幕戦で注目された、F1へのステップアップを公言しているホンダの次世代エース候補、松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と福住仁嶺(TEAM MUGEN)のふたり。決勝レースは松下12位、福住はリタイアという結果になったが、週末を通してそれぞれ見どころを作るなど、大きなインパクトを残した。レース後のふたりに聞いた。

「今日の僕では(山本)尚貴さんには勝てなかったと思います」とレース後に話したのは福住。好スタートでトップの山本(TEAM MUGEN)に次ぐ2番手でオープニングラップを終えたものの、すぐに2ストップ作戦の塚越広大(REAL RACING)にかわされて3番手に後退すると、トップの山本とのギャップは序々に開き、離されていった。

「クルマのバランスが悪かったです。16号車(山本車)ともセットアップが違いましたし、尚貴さんはこのコースが得意で速い。自分なりにプッシュもしたかったんですが、最初に尚貴さんのペースにつられて行きすぎてタイヤのライフがなくなるのが怖かったので、自分なりにその限界を探りながら走りました。後半はペースが良かったんですけど、それでも今日は尚貴さんの方が全体的に調子が良かった」

 その後、2番手の塚越がピットインして福住が2番手となるも、山本とのギャップは16秒に拡大。そして31周目にピットインしてコースに戻るも、アウトラップでスローダウン。そのままガレージに入り、リタイアとなってしまった。

「ピットアウトして、ヘアピンの進入で急にシフトがニュートラルに入ったのか、クラッチがつながらないような状態になってアラームが付いて、そこからは何もできなかった。電気系のトラブルです。(FIA F2の)バーレーンでもDRSのトラブル(閉まらない状態になった)から続いて、ツイていないですね。でも、それほど気にしていないです。そのトラブルも含めて実力だと思っています」と、その時の状況を冷静に振り返る福住。

「悔しいですし、せっかくここまで頑張って走ってきたのに、という気持ちがありましたけど、トラブルはいつ起こるか分からないものなので。今日は実際、ポディウムの可能性も充分あったので、ポイントを獲れたと思うし、TEAM MUGENは今、すごく好調なので、チームランキングのことを考えても、もったいなかったなと思います」と続ける福住。

 それでも開幕戦のレース直後ながら、客観的に戦況を振り返る点、そして何よりどのドライバーも最初は苦労するデビュー戦の予選で2番手を獲得し、スタートも難なく決めて表彰台圏内が普通に見える走りを見せている時点で、やはりただの若手のルーキーではなさそうだ。


スーパーフォーミュラとFIA F2の両方に参戦するホンダの福住仁嶺(TEAM MUGEN)

「正直、結果は悔しいですけど、そんなに気にしていないです。自信をなくすとか、そういうことはないです。今日はトラブルがなくても、その後のレースを見ていると行けたとしても3位までだったと思います。関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が速かったですしね」と福住は素直にライバルの速さを認めた。

 一方、福住と同じく注目を集めた松下。決勝では見せ場はほとんどなかったが、それでもやはり、この開幕戦で大きなインパクトを与えた。

「レースペースは悪くなくて、ソフトタイヤでスタートしたんですけどミディアムのパック(一団)に入ってしまった。そこをなんとか打破しようとしてピットインしたんですけど、結局、ピットアウト後も誰かのマシンの後ろになってしまって、ペースは僕の方が速かったんですけど抜くまでには至りませんでした。やっぱり、予選が大事なのを痛感しました」

 39周目にはスピンも喫してしまった。

「デグナーで縁石にヒットして、クルマのバランスを崩してしまいました。あの周だけ、ちょっと甘かったです」

 決勝では為す術なく12位に終わったが、週末を振り変えれば予選Q1での衝撃的なトップタイムが際立っていた。Q2ではアタック中に赤旗が提示され、ノックアウトされてしまったが、その経験を踏まえ、松下はスーパーフォーミュラでの戦い方をこの1戦で充分に感じ取ったようだ。

「開幕戦を終えてペースやパフォーマンス自体は悪くなかったと思います。ここで落ち込まずに、予選の大事さを痛感したので、とにかく予選の順位を意識していきたいですね。やっぱりトップ5に入っていないと勝ち目はないなと思いました」

「今回の予選も赤旗の影響は仕方がないですけど、その後、ソフトタイヤのニュータイヤを入れていれば7番手とかにはなれた可能性があったので、赤旗が出たときのその後の対応策がもっといろいろできたと思います」

 ホンダだけでなく、国内モータースポーツにとっても刺激になる松下、福住の存在感。ホンダモータースポーツ部の山本雅史部長も、勝った山本尚貴とともに、若手ふたりの活躍に目を細める。

「まずはポール・トゥ・ウインで2年ぶりの勝利、尚貴がよく頑張った。長いレースだったけど、タイヤをスタートミディアムでソフトに変える作戦も良かったと思いますし、本当に尚貴が良く頑張ったレースだったと思います」

「福住はメカニカルトラブルで残念ですけど、また今週、気持ちを切り替えて週末のバクー(アゼルバイジャンでのFIA F2)で頑張ってほしいし、松下も今回、とてもチャレンジングにアプローチしていたので、本当に期待しています。次の第2戦オートポリスで頑張ってほしいですね」

 この2年のスーパーフォーミュラは『GP2チャンピオン』の肩書きでストフェル・バンドーン、ピエール・ガスリーと実績のある外国人ドライバーの来日参戦が話題となっていたが、蓋を開けて見れば今年のスーパーフォーミュラも前年以上に個性的でポテンシャルの高い新人たちが粒ぞろいとなった。

 残念ながら同じルーキーの千代勝正(B-Max Racing team)やピエトロ・フィティパルディ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)は今回は見せ場がほとんどなかったが、第2戦以降にどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。2018年のスーパーフォーミュラも、ホンダのふたりを筆頭に、新しい顔ぶれのドライバーが大いに盛り上げてくれそうだ。